上司と話がかみ合わない。
理不尽なことを言われているわけではないのに、なぜか納得できない──。
若手時代の私は、「どうしてこんなに意見がぶつかるのだろう・・・」と悩んでいました。
あれから10年以上の月日が流れ、中間管理職になった今、ようやくその理由がわかってきたのです。
キーワードは視点の違い。
この記事では、若手時代の私の体験と、今だからわかる対処法についてお話します。
上司と意見がぶつかっていたあの頃
若手社員だった頃、同じプロジェクトでお世話になっていた先輩に、こんなふうに言われたことがありました。
あなたと上司の〇〇さんは、同じ方向を見て仕事してるのに、どうして意見がぶつかるんだろうね。
同じ方向を見てる?そんなふうには思えないけど・・・
当時はその言葉の意味がわかりませんでした。
ミーティングのたびに、ダメ出しされる。そんな状態で同じ方向を見ているとはとても思えませんでした。
中間管理職になって気づいたこと
私自身がプレイングマネージャーとして部下と上司の間に立つ立場になった頃、ようやく10年前のあの言葉の意味がわかってきました。
それは、「見ている景色」が違っていたからです。
部下の多くは、今まさに目の前にあるタスクや仕事に意識が集中しています。
たとえば、資料の完成度を上げることや、目の前の締切をどう乗り越えるかに一生懸命です。
一方で、上司が見ているのはもっと広い視野。
「このプロジェクトをどう進めれば全体の目標に近づけるか」
「チーム全体でどう動けば成果が最大化されるか」
といった、いわばゴールまでの道筋や仕事の全体像に意識が向いているのです。
だからこそ、部下と上司で会話がかみ合わない場面が起きやすくなります。
部下は「この作業を完璧に仕上げたい」と思っているのに、上司は「80点でいいから早く次の段階へ進んでほしい」と考えていたりする。
どちらが正しい・間違っているという話ではありません。
ただ、立場によって見えているもの・大切にしているものが違うだけなんです。
私も最初は、上司の意図がよく分からず、「なんでここまで頑張ってるのに評価されないんだろう」とモヤモヤしていました。でも中間管理職として両方の立場に触れることで、ようやくそのすれ違いの構造に気づくことができました。
上司と合わないと感じたときの対処法
「合わない」と感じたときは、感情で突っぱねずに、まず“視点の違い”を疑ってみるのがおすすめです。
上司の意図を尋ねてみる
「なぜその方針なんですか?」「どういう背景があるんですか?」と、率直に尋ねてみることで、相手の視点が見えてくることがあります。
角の立たない聞き方をすれば、嫌な印象を与えることなく、コミュニケーションの糸口がつかめます。
業務内容について理解を深めたいという気持ちを素直に伝えれば、上司も悪い気はしないはずです。
なぜなら、上司としても細かい指示をしなくても、自分の意図を理解して仕事をしてくれる部下はとても頼もしい存在になるからです。
自分の考えも丁寧に伝えてみる
上司の意図を理解しようとしたうえで、「自分はこう考えていた」という視点も伝えると、お互いの理解が深まります。自分の考えを整理出来ないときは、上司と話す前に少し上の先輩に相談してみるのも手です。
意見が食い違うこと自体は、悪いことではありません。
むしろ、相互の視野を広げるチャンスにもなります。
まとめ
かつての私のように、上司と合わないと感じて悩んでいる人は少なくないと思います。
でも、それは「人間関係が合わない」ではなく、見えている景色が違うだけかもしれません。
もしそれに気づけたら、きっと少しだけ、気持ちが楽になります。
まずは上司に意図を尋ねてみましょう。
業務内容について理解したい部下を冷たくあしらう上司はそんなにいないはずです。
そして、自分の考えも丁寧に伝えてみましょう。
お互いを理解することで働きやすさも、信頼関係も、自然と変わっていくはずです。
私が当時できなかった気づきを、この記事を読んでくれたあなたには、ぜひ活かしてもらえたら嬉しいです。