クライアントと話しても、なかなか完成のイメージが見えてこない。
何とか聞き出そうとしても質問が空回りし、「何を聞けばいいのかわからない」
そんな状態のまま進めてしまい、「やっぱり違う」「前のほうが良かった」と仕様変更や方針転換が繰り返される——。
この記事では、そんなクライアントの曖昧な要望に振り回される悩みを持つ方に向けて、具体化のコツをお伝えします。
質問で方向性を一緒に探るコツと注意点
相手にとっても「まだうまく言葉にできない」「イメージが固まっていない」ということはよくあることです。
そんなとき、無理に答えを引き出そうとするのではなく、こちらからいくつかの視点を提示することで、少しずつ整理してもらうことができます。
たとえば、色や質感、サイズ感など具体的な要素に分けて質問する方法です。
「このアイシャドウはイエベ・ブルベどちらをターゲットにしてますか?」
「仕上がりは光沢感のあるものがいいですか? それともマットですか?」
こうして選択肢を提示することで、相手も答えやすくなり、少しずつイメージが明確になっていきます。

事前に質問を考えておくと、落ち着いて打ち合わせができますよ
また、「この感じは違いますよね?」と、あえて違う方向を見せることで、やりたいことの輪郭が見えてくることもあります。「そうそう、そうじゃなくて…」という反応が返ってくると、何がしたいのか、どこを目指しているのかがはっきりしてくるのです。
さらに質問と組み合わせることで効果的なのは、こちらの記事で紹介した「視覚的なサンプルを活用する方法」です。実物や画像を見ながら会話することで、相手の頭の中のイメージをより早く具体化できます。


対話をすることは具体化するうえで大切なことですが、質問を重ねるときには注意も必要です。
私自身、質問攻めをしてしまい、相手が戸惑ってしまった経験があります。
それ以来、話すスピードをゆっくりにしたり、立て続けに質問をしないように工夫するようになりました。
相槌や感想を交えながら会話をすることで、相手が安心して話せる雰囲気づくりを心がけていました。
沈黙の時間も、すり合わせのチャンスにする方法
会話が止まったとき、「沈黙=失敗」と感じてしまうことはありませんか?
でも実はその時間こそが、相手が自分の考えを整理しているタイミング。
急かさずに待つことで、相手の中にある“まだ言葉になっていない気持ち”が、少しずつ表に出てくることがあります。
安心して考えてもらえる空気感をつくることが、信頼関係を築く第一歩です。
とはいえ、沈黙している時間は、気まずい気持ちになるかもしれません。
そんなときは、飲み物を飲んでみたり、会話を思い返してメモを描いたり、次に確認することを考えたりしていると、その時間を有効活用できますよ。
最終手段は、複数のバリエーションを作ること
言葉のキャッチボールを繰り返すことで、少しずつイメージが形になっていきます。
ですが、どうしても難しい場合があります。
そんなときは、“ある程度のバリエーション”を用意するという手があります。
バリエーションを作るときに大切なのは、あらかじめ軸を設定すること。
例えば、デザインの雰囲気を「かわいい」「シンプル」「モード」の3種類で作ってみる、といった具合です。
軸を決めることで比較がしやすくなり、相手も好みや方向性を判断しやすくなります。
逆に、軸を設定せずになんとなく作ったバリエーションは、かえって判断が難しくなり、話がまとまりにくくなってしまいます。
また、コストや時間に制約がある場合は、自己判断で進めずに上司へ相談してから取り組むことをおすすめします。
まとめ
クライアントの要望が曖昧なままでは、やりとりが空回りし、試作や仕様変更のたびに大きな労力がかかってしまいます。そんな状況を防ぐには、相手と一緒にイメージを探っていく工夫が大切です。
具体化のコツとしてご紹介したのはこちらの3つ。
- 質問による具体化
- 沈黙を味方につける姿勢
- 軸を定めたバリエーション提示
質問の投げ方や伝え方に気を配り、必要に応じてサンプルや選択肢を提示することで、イメージの輪郭が明確になります。
言葉にならない思いも含めて丁寧に引き出していくことで、納得感のあるものづくりにつながると実感しています。
「イメージが固まっていない相手とうまくやりとりするにはどうしたらいい?」
そんな悩みには、こちらの記事も参考になるかもしれません。

